これからの数学教育は、統計学に行き着く
平成25年度の数学新課程で追加された項目をご存知ですか。
確率分布 と 統計処理 です。
これまで数学IIIの微積分を頂点とした代数学が中心だった高校数学から、統計や確率といった離散数学の理解が求められる時代にシフトしつつあります。
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現在の数学教育は微積分学を理解することが目的とされています。しかし、高校を卒業し、大学で高度な数学教育を受けた者でも、日常的に微積分を活用している人は稀です。
一方、統計や確率は日常生活に密着した学問です。ゲームやギャンブルなどの遊びに使うだけでなく、商売をしている方には、売れ筋の傾向、人の流れなど、データを処理する方法を学べばさまざまなことがわかります。一見ランダムに見えるものも確率的に予見できるようになる非常に興味深い分野です。
また、統計やデータ分析が重要視されるようになった理由として、コンピュータの発達は切り離せません。今や1人に1台のパソコンが当然の時代。Excel を使えば四則演算や平均値はもちろん、標準偏差やヒストグラムも簡単に作成できます。微積分を発展させたフーリエ変換なども、圧倒的な速さでコンピュータが計算してくれます。
しかし、コンピュータが弾きだした数字をみて分析するのは人間の仕事です。わたしも集められた大量の実験データをまとめるために、必要にかられてやっと統計を学習した記憶があります。数値やグラフからそのデータを活用するために、これからすべての学生に統計学の知識が求められるようになるでしょう。
微積分が不要になることはありえませんが、基礎教育としてどちらを知っておくべきかと言えば、圧倒的に統計学のほうが価値があります。「ビッグデータ」という言葉が取り沙汰される昨今。数学教育の進む道が大きく変わろうとしているのかもしれません。