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世界が震えた、最高のパフォーマンスを引き出すための科学:『新 インナーゲーム』の感想

  • 読書感想文

Inner game2

わたしたちの心のなかには「2人の私」が存在する。自分の経験や知識をもとにやたらと指示命令を出したがる「セルフ1」と、その命令に従い、実行しようとする「セルフ2」のことだ。

この2つの関係はまるで上司と部下のようなもので、セルフ1が口やかましくするほど、セルフ2は本来の力を発揮できなくなってしまう。セルフ2には見たまま感じたままを再現できるという驚異的な能力が備わっているのだ。

そんな人間が本来持つ自然発生的な成長、充実感、真の楽しみを実践する方法が「インナーゲーム」(内なる戦い)である。

心配症なセルフ1

セルフ1とセルフ2は、慎重派と行動派と捉えるとわかりやすい。

どちらも自分自身ではあるけれど、慎重派のセルフ1は、セルフ2が行動しようとするたびに、「手首の力を抜いて!」「ひざをやわらかくして!」「ボールから目を離すな!」「リラックス、リラックス、リラックスするんだ!」と事細かに指示を出したがる。

そして極めつけには、セルフ1の指示のせいでガチガチになったセルフ2に対して「お前はどうしてそんなにドジなんだ!」と失望の評価を与える。

どうやらセルフ1は、一から十まで命令しないと気が済まない心配性な上司らしい。

天才基質のセルフ2

セルフ2は、ガチガチに命令されるよりも自由に行動することを好む。見たまま感じたままを再現することが得意で、赤ん坊がだれに教わるでもなく言葉を覚え歩き始めるように、自然発生的にものごとを学習していく。

このセルフ2の驚くべき能力について、テニスのブロコーチである著者のガルウェイは次のような体験を紹介している。

その日の生徒は、ラケットを一度も握ったことのないまったくの初心者、ポールだった。

「今日は私(コーチ)がまず10球だけフォアハンドを打ってみせる。そこで君はただ注意深く私の動きを見て、視覚的なイメージをつかんでほしい」私が10球を打ち終わると、ポールはそのイメージ通りに自分が動くところを想像した。

彼はボールを落とし、完璧なバックスイングでラケットを引き、前方に振り出し、ラケットを水平に保ち、完璧な「最初のストローク」をもう少しでやり終えるところだった。

彼が唯一できなかったのは、事前に「これだけは実行しよう」と言葉で考えていたことだった。

つまりこのときポールは、セルフ1が指示したこと以外の動作をたった1度で完璧に再現してしまったのである。

これがセルフ2の持つ自然発生的な学習能力であり、この驚くべき能力はすべての人に備わっているものなのである。

セルフ1を静かにし、セルフ2を信頼する

こうなるとやることは一つ。セルフ1に邪魔させず、セルフ2を自由にすることである。そのためにはどうすればいいのか。セルフ2を信頼することだ。

そもそもセルフ1が口うるさくなるのは、過去の経験でセルフ2が失敗したときのことを覚えているからである。1度の失敗が目に付き、その人を信頼できなくなるということは、社会生活で経験があるのではないだろうか。

そのセルフ2を無条件に信頼する。そうすることでセルフ2は能力を最大限に発揮することができる。

では、行動をセルフ2に任せている間、セルフ1は何をすればいいのか。答えは「観察」すること。良い悪いといった主観的な感想を抜きにして、「腕はどこまで上がっているか」「膝はどのくらい曲がっているか」という事実のみを観察することに集中する。観察して得られた情報はセルフ2にフィードバックされ、学習の精度を向上させる原動力となる。

競争=協力

スポーツに限らず、競争とは「相手を打ち負かすこと」と捉えがちである。セルフ1の言葉を借りれば「勝てば自分の価値が上がり、社会的地位を手に入れられる。負ければすべてを失う」と考えるだろう。

現代ではこの気持ちが強くなりすぎて、「参加することに意味がある」「いい汗」「笑顔で」といった必要以上に競争を避ける考え方が強調されるようになっている。

しかし、競争はむしろ勝ち負けにこだわることに意味がある。なぜなら、困難を克服しようとするとき、セルフ2の能力が最大限に発揮されるからだ。競争を避けて、困難に立ち向かう機会を失くすことは、セルフ2の能力をないがしろにすることでもある。

このように考えると、「敵」は困難な状況を提供し、成長する機会を与えてくれる「仲間」であると考えられる。これは相手にとっても同様である。つまり、「競争」とは協力してお互いを高める「協働関係」なのだ。協働関係において勝ち負けとは、「相手を打ち負かすこと」ではなく、お互いの本気を出しあった「結果」でしかない。

まとめ

セルフ1はセルフ2に対して指示命令を出し続け、自分自身の行動を支配しようとする。しかし、セルフ1を静かにさせ、セルフ2を信頼したとき、人は自身の持つ能力を最大限に発揮することができる。

意識の向けやすいセルフ1には、客観的な「観察」に集中させ、セルフ2の学習をサポートする役割を与えるべきである。

また、「競争」は「協力」と同義であり、勝ち負けは、お互いの能力を高め合う協働作業の結果でしかない。

『インナーゲーム』は、スポーツの分野に限らず、世界中の様々な分野の人々に愛読されている。この本はきっと「人を育てる」すべての人にとって大きな刺激を与える1冊となるだろう。

    最後まで読んでいただき ありがとうございました。

    何か一言添えてシェアしていただけると幸いです。

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