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【感想】『ザ・ゴール』 製造業 復活宣言!

  • 読書感想文

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『ザ・ゴール』は、エリヤフ・ゴールドラットによる製造業復活のための大胆な改革案です。従来の評価システムを見直し、企業が持つ本当の目標に沿った新しい評価指標が必要であると説きます。

本書は長編物語の形で進みます。閉鎖の危機に追いこまれた工場の所長アレックス・ロゴが、物理学者のジョナの助言をもとに工場再建を果たしていくお話です。ジョナは著者ゴールドラットの分身であり、彼の開発した新しいマネジメント・プロセス『TOC』を用いて、工場内のさまざまな問題を斬新な切り口で改善していきます。

製造業に携わったことのない人には理解しづらいところがあるかもしれません。むしろ、「なぜそんなことをしているの?」と疑問に思うところが多いでしょう。逆に、製造業関係者にはまるで我がことのように自身の工場に照らし合わせながら読み進めることになると思います。

一般的に正しいと言われていることが実は間違っていた、というのはよくあることです。ここに書かれていることがすべて正しいともかぎりません。ここで納得した知識で、今の状況を改善する手がかりにはなるはずです。

企業の究極の目標とは

企業の本来の目標は「お金を儲けること」です。コスト削減や在庫調整、効率の向上は手段にすぎません。しかしその手段に注力するばかりに、手段が目標になっている現場が少なくありません。経営陣はコストの削減を最大の目標とし、現場では効率を上げることが使命だと考えています。これはまるで、チャンスや人脈を拡げるために英語を学びはじめたのに、いつのまにか TOEIC で高得点を取ることが目標になってしまったようなものです。

企業がお金を儲けるための指標として使われる数値に、キャッシュフローやコスト、効率など数多くありますが、本書においてその指標となるものは、

  • スループット
  • 在庫
  • 作業経費

とされています。

スループットとは、販売を通じてお金を作り出す割合のことだ。生産ではない。生産しても売らなければ、それはスループットじゃないんだ。(中略) 在庫とは、販売しようとするものを購入するために投資したすべてのお金のことだ。 (中略) 作業経費とは、在庫をスループットに変えるために費やすお金このことだ。(P97)

指標全体をグループとして一緒に考えるようにしなさい。もしひとつの指標の定義を変えるときは、残りの指標のうち少なくとももう一つの定義も変えなければはならない。(P97)

スループットを「お金を生み出すもの」、在庫を「売ることのできる投資」、作業経費を「失ったお金」と考えることもできます。特に在庫の定義は、わたしの認識していたものと大きく違っていました。またこのなかに人件費や知的財産といった付加価値は考慮しないほうがベターであると言います。

スループットを増やし、在庫と作業経費を減らすことで、企業に入ってくるお金を増やすことが、工場の経営における究極の目的となります。

ボトルネックが生産力を決定する

作業工程のなかに存在する「ボトルネック」によってその工場の生産力が決まります。ボトルネックとは、ビンの口が小さくなった部分のことです。中にある水はボトルネックよりたくさん出ることはできません。同様に、工程のボトルネックによって工場の生産力は制限されることになります。

例を挙げます。製品A、製品B、製品Cという工程があり、そのすべてが装置Xを通るものとします。装置Xの前工程がそれぞれ1時間に10個、装置Xは1時間毎100個の製品を作れるとします。ただし、製品が違うためA、B、Cを同時に処理することはできません。

この場合、前工程からどんどん仕掛け品が流れてきて、装置Xの前には在庫が山積みになることになります。このとき装置Xが工程のボトルネックになっていると判断できます。その後この工程では、このボトルネックをどのように活用するかを中心にプロセスを改善していくことになります。

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このほか、在庫の調整や非ボトルネックの扱いについて、従来のものとは大きく違った(ほぼ真逆の)アプローチが展開されていきます。それは非常に理にかなっているため、なぜ今までそうしなかったのか不思議に思うほどです。

製造業以外でも応用できるのか

本書は製造業向けに書かれたものですが、この内容はほかの業種にも応用可能でしょうか。わたしは可能だと思っています。

話のなかでボトルネックという考え方に至ったキッカケは、子どもたちのピクニック風景からでした。ひとりの足の遅い子(ボトルネック)が全体の進行に影響を与えていました。そこで隊列をその子に合わせて組み直したり負担を分割したりした結果、全体の効率が上がったという経験が、ボトルネックの活用という考えにつながっています。

たとえばサービス業において、従来の在庫(倉庫に山積みになっている完成品たち)やボトルネックというものは見えにくいかもしれません。そこは先に述べた3つの新しい指標の定義からもう一度現場を見つめなおす必要があります。

一般的に正しいと言われていた認識を改めることで、今の状況を改善する手がかりはきっと見つかるはずです。

    最後まで読んでいただき ありがとうございました。

    何か一言添えてシェアしていただけると幸いです。

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